一般の方だけでなく、販売店でさえ間違えた認識をされていることが多いので、職人タカシがしっかり解説します!
これを読めば、あなたもホタル玉通。
1. ホタル玉はトンボ玉の一種
ガラスを溶かしてビーズを作ることは、数千年以上前から古代ヨーロッパなどで盛んに行われてきました。日本でも縄文・弥生時代の古墳などから、ガラス玉が発見されています。
金属棒に溶かしたガラスを巻きつけてビーズをつくる技法は、奈良時代に日本に伝来したそうです。江戸時代に流行ったビーズの模様が、蜻蛉の目のように見えたためにトンボ玉と呼ばれるようになりました。
トンボ玉を焼成している途中で、銀箔を中に入れたものをホタル玉といいます。
余談:様々な形や色のホタル玉を、全部一括りにホタルガラスと呼ぶのが近年一般的になりました。おそらく、マーケティングのためだと思います。「ホタル玉」と呼ぶよりも「ホタルガラス」と呼んだ方が、語呂が良いのかもしれませんね。
反面、「トンボ玉」が「トンボガラス」と一般的に呼ばれるようになることはないと思います。語呂が悪くなるし、単語自体の歴史が長いので、そのままにしておこうという気分になります。
2. トンボ玉の中に銀箔を入れたものをホタル玉という
繰り返しますが、とんぼ玉を焼成している途中で、銀箔を中に入れたものをホタル玉といいます。
さらに、蓄光材の粒を入れると夜光タイプ・蓄光タイプというホタル玉になります。
ここで重要なのは、蓄光材が入れられていてもいなくても、銀箔が入っている時点で本物のホタル玉ということ。
タカシのショップでは蓄光タイプかどうかを明記していますので、誤解があったことはありません。が、他のショップさんのレビュー欄で「暗闇で光らない偽物を買わされた。」と勘違いをした購入者の書き込みを見たことが何度もあります。
ホタル玉はすべて暗闇で光るという勘違いが起こるのは、売る側にも買う側にも責任があります。ここの読者様はこの先、勘違いをされることはまずありませんね。ご自身が光らないタイプ・蓄光タイプのどちらが欲しいか、熟考してお買い物をお楽しみ下さい。
余談:金箔をいれたトンボ玉も世界中で作られていますが、それらをホタル玉と呼んでいる人やショップを見かけたことはありません。
3. ホタル玉(ホタルガラス)は琉球ガラスではなく、沖縄オリジナルではない。
ホタル玉はトンボ玉の一種で、トンボ玉には何千年もの歴史があります。明治に始まり戦後に盛んになった琉球ガラスとは、時代の尺度が異なります。ホタル玉を琉球ガラスの一種と呼ぶのは、「オニギリは寿司の一種」と呼ぶような違和感を感じます。
残念ながら、ホタル玉(ホタルガラス)は沖縄発祥のトンボ玉ではありません。
ホタル玉には長い世界的歴史があります。1470年頃からベネチアで銀箔を入れたホタル玉が公式に発売されています。これほどの過去から製造が確認されているのに、沖縄をホタル玉発祥の地とするのは無理があります。本当に沖縄オリジナルだったら最高なんですけどね。
沖縄への観光が1980年代に盛んになり、観光客向けのガラス細工のお土産が作られるようになりました。ホタル玉はそのお土産の中でも、かなり新しいアイテムです。
実は、日本で流通しているトンボ玉作成用のガラスロッドの大部分は、大阪にある2社が製造販売しています。そのうちの1社の職人が、50年以上前に既に大阪でホタル玉を作成していました。
伝統的ガラス工芸品であるホタル玉が、どこで発案されたかを追求することは、歴史専攻でない限りあまり意味がありません。歴史が古すぎて、ヨーロッパのどこかであっただろう、という次元でしかわかりません。
「沖縄がオリジナル!独自!」という主張は、宣伝文句としては聞こえが良いですが、真実ではありません。琉球王国が始まった頃に、ベネチアでホタル玉は作られていました。
4. ホタル玉に偽物はない。気にするべきは品質。
何度でも申し上げます。ガラスビーズで、銀箔が中に入っているものはすべて本物のホタル玉(ホタルガラス)で、ガラス工芸品です。いつ、どこで、だれに作られたかは、関係がありません。 結局、購入者にとって一番大事なのはホタル玉の品質です。絹、革製品、ダイヤモンドなど多くの服飾・宝飾素材に共通したことです。 ホタル玉(ホタルガラス)は、沖縄の雰囲気にぴったりのガラスビーズだと思います。観光客に人気で沢山売れるということは、それを作る職人さんが集まるということ。
事実、ホタル玉を作っている職人さんが日本で一番多いのは、沖縄本島だと思います。そのため、品質の高いホタル玉も沖縄にあります。沖縄が大好きなので、職人タカシはほとんどのホタル玉を、那覇国際通りの老舗のお店を通じて仕入れています。
沖縄のガラス工芸のさらなる発展を祈っていますし、沖縄の方に収益が入れば良いと考えてのことです。また、職人タカシ自身が作っている大阪とんぼ玉と、ほたる玉は雰囲気がまったく異なるので、扱っていてとても楽しいです。
5.天然石のホタル石(フローライト)とは全く関係がない
琉球ホタル石、沖縄蛍石、パワーストーンなどなど、色々な名前をお店がつけて売っています。ですが、ホタル石とは本来は天然石のフローライトのことを指します。そして、ガラス工芸品のホタル玉(ホタルガラス)とは何の関係もありません。材料でもありません。
個人の方のブログなどでは「砕いたホタル石を混ぜて蓄光させている」など、空想を書いている人もいます。ホタル石自体に蓄光効果はありませんし、ガラスに膨張係数の違う石を混ぜたら、絶対に割れます。
ホタル玉にパワーストーン的な意味や効果を求めるならば、必ず入っている銀(シルバー)と、ホタル玉の色に注目すれば良いと思います。
シルバーは魔除けのアイテムとして有名。ホタル玉には色々なカラーがありますが、代表的なのはブルーです。ブルーには、落ち着きや信頼を感じさせる効果があると信じられています。
そもそも、職人が一つづつ手で作っている時点で、良いオーラが封入されています。やはり、炎で清められていますし、持ち主が楽しい気分で使って欲しいと、職人は考えながら作っていますから。
次回のブログ記事では、「品質の高いホタル玉の選び方」を職人目線で解説します。
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